厚生労働省によると平成30年(2018年)の看護師数は約122万人(保健師約5万3千人、助産師約3万7千人)で、いずれも年次推移としては増えており、
となっています。
昨今では、会社に縛られない自由な働き方ができる風潮が大きくなり始めていますが、この看護業界においては、やはり医療機関で働く人が多いのはこれからも変わりはないでしょう。
そのような中、看護師でも医療機関で働くのではなく、起業や個人事業主になるなど新しい働き方を選択する人が増えてきています。
その新しい働き方として「看護師ライター」という職業もあるのをご存知ですか?
この記事では、看護師から看護師ライターへと転職をした筆者が、看護師ライターになった理由やなる方法などについて紹介します。
この記事の内容
看護師からライターになろうと思ったキッカケは?
看護師からライターになろうと思ったのは、これからの人生を組織にしばられずに住みたい場所で、自分のペースで仕事をする、そんな自由な人生を歩みたかったからです。
ライターとしてリモートワークで働くことができれば、パソコンとWifi環境さえあれば国内だけでなく、海外で仕事をすることができます。
20代から看護師として病院で働き始めて、40歳になるまで十数年。
その間に転職も5回以上は経験し、自分がやってみたいと思う分野での仕事はしてきました。
看護師として医療機関である程度の仕事を経験してきたからこそ、これからは患者さんにダイレクトに関わる仕事以外に何かもっと自分のために時間を使ってみたい、そう思うようになったのです。
ライター業に活かせる看護師経験とは?
では、看護師ライターにはどのような看護師経験が活かせるのでしょうか。
実は、それぞれの看護師の経歴如何に関わらず、すべての経験をライター業に活かすことができます。
ここではどのような看護師経験がライター業に生かせるのかを紹介します。
さまざまな医療機関規模・分野別での看護師経験
看護師ライターに依頼される記事の多くが、これまでの勤務経験やそこで得た知識を必要としています。
- 病院や診療所などの医療機関での勤務経験
- 行政機関や産業看護師として一般の会社での勤務経験 など
働くフィールドが広いほど、いわば記事を書くネタを持っていることになります。
さらに看護だけでなく、他の分野である介護やリハビリなどとの関わりがあれば、より経験値は深まり、記事に活かせるともいえるでしょう。
認定看護師や専門看護師などの分野に特化した看護師経験
私自身、認定看護師や専門看護師などの資格は取得していませんが、もしより専門的な知識や経験がある看護師なら、その分野にかなり特化した記事を書くことが可能です。
さらに、自分が持っている知識や経験の専門性が高いほど、記事単価も高くなりやすい傾向があります。
ただ専門分野でカバーできる範囲が狭すぎると、逆に仕事を受注しにくくなることも考えられます。
そのため、ある特定の専門分野の周辺分野にも、有益な情報や考察が加えられるような幅広い知識や経験を持ち、それを記事にする力も大切といえるでしょう。
職場での人間関係や仕事の悩み克服、看護師の転職経験
どの業界でも同じく、看護業界でも職場の人間関係・仕事の悩みを抱える人は多いですよね。
それらの問題を克服した体験などがあると、ライター記事に書くことができます。
とくに看護師は転職する人が多く、看護師転職サイトもたくさんあります。
そのようなサイトから、看護師転職の体験談などを書いてほしいといわれる案件は一定数あるため、ライター業でも十分活かすことができます。
看護師ライターになるまでに準備したことは?
ライターになろうと思う人は基本的に文章を書くのが好きだったり、本や論文などを読むのが好きだったりという前提条件があります。
私も、もともと読書好きで知識欲も高く、文を書くのもそれほど嫌いではないというタイプでした。
そんな私が看護師ライターになるまでに準備したことを紹介します。
なぜ看護師ライターをしたいのか理由を明確する
「なんとなくライターの仕事は楽そうだし、気軽にやってみようかな」
そんな思いで看護師ライターを始める人もいるでしょう。しかし、実際に案件をとって記事を書くのに慣れるまでは思っている以上に大変です。
なかには「こんなはずではなかった。看護師の本職の方が稼げるからライターは辞めよう」という人も多いはずです。
- 「これまでとは違う自由な時間を手に入れたかったから」
- 「ライターという別の視点で看護師の仕事や生き方について情報発信をしたかった」
そのようなブレない目的や軸があると、仕事への取り組み方も変わりモチベーションを維持することができます。
ライターの仕事ができる時間を確保し環境を整える
ライティングに慣れていない初心者は、一つの記事を書くのに初めは多くの時間を費やします。
一つの記事を書くのに何時間もかかり、時給に換算すると現役看護師時代の時給と比較にならないくらい低くなってしまうことも少なくありません。
そのような状況から脱するまで、ある程度の量の記事を書く必要があります。
その時間を確保するために、常勤で看護師として働きながらライターの仕事をするのは難しいと判断し、ある時期から副業がOKな勤務先で看護師アルバイトをしながら、ライター業をするようになりました。
そして、より集中してライター業に専念できる環境を意図的に作っていったのです。
クラウドソーシングに登録し案件を受注する
記事を書くには、案件を受注しなければなりません。
そのため、クラウドソーシングサービスの一つである「クラウドワークス」に登録し、そこから記事案件を受注するようにしました。
看護師に特化した内容を書くよう求められる案件は、実はそれほど多くはありません。
そのため、クラウドワークス以外にも「ランサーズ」と呼ばれるクラウドソーシングサービスなどに登録し、複数の場所から記事受注を図るようにました。
看護師ライターとして案件獲得の為にやっていることは?
看護師ライターとしてデビューをしても、クライアントから案件依頼の話が自然と舞い込んでくるわけではありません。
実績のないうちは、自分から案件を獲得していくのが基本となります。
案件を獲得していくために行なっていることをお伝えしましょう。
プロフィール欄を充実させて他の看護師ライターとの差別化を図る
クラウドソーシングに登録すると、自分のプロフィールを書く欄があります。
自分の履歴書となるプロフィール欄の内容を充実させて、クライアントにアピールすることがまず基本になります。
ほかの看護師ライターとの差別化を図り、記事を依頼したいと思えるようなプロフィールになるよう、内容を充実させることがまずコツになります。
とにかくどんどん受注し質の良い記事の実績を残す
看護師としては経験があるものの、ライター経験は未経験であることを自覚し、まずは自分が書ける可能性があるものは、どんどん案件に応募していきます。
はじめのうちは記事の実績を積み上げていくために、看護師関連以外の記事、恋愛・結婚・旅行など生活に関わる記事なども多く受注しました。
とにかく量をこなし、少しずつライティングスキルをあげていくわけです。
そのうち、自分が書ける得意分野(看護師の仕事や看護師転職、医療関係など)が定まってくるため、分野がある程度絞られてきたら、今度は単価の高い記事で、より質の高い内容を書く段階に入っていきます。
クラウドソーシング以外にもライター募集をしているWebメディアに応募する
その段階に到達すると自信もつき、クラウドソーシング以外でライターを募集しているメディアへ個人として応募するようになります。
今では、さまざまな媒体から記事受注をし、平均すると月に50〜60記事程度は納品ができるようになり、ある一定の収入を得られるようになりました。
そのレベルまできたら、あとは看護師の専門性を生かした記事など、単価のより高い仕事に的を絞り応募するようにしています。
これから看護師ライターになりたい方へのアドバイス
そう聞くと、看護師ライターという仕事に魅力を感じ、興味が湧いてきますよね。
私も初めは好奇心と、もう時間に縛られたくないという気持ちから、やや軽い気持ちで動いていた部分もあったのは確かです。
しかし、ライターという仕事は正直はじめは大変でした。
まず職業上オフィスワークをしたことがなかった私は、ずっとパソコンの前に座ってキーボードをたたくことがとてもきつく感じ、途中で何度も挫折しそうになります。
さらに、個人で仕事をしたことがなく、仕事と時間の管理がうまくできないこともありました。
そのようなこれまでとの仕事とは違うスタイルに、ストレスを抱えることもしばしば。
「これなら前の看護師の仕事に戻った方がいいのかも」と思うこともありました。
しかし、次第に仕事に慣れ収入を得るようになると、今度はライターという立場から看護師の役割や仕事などを発信していくのも、医療職としての一つの役割だと感じるようになるのです。
看護師ライターは誰でもなることはできますが、今までの看護職とは違う仕事のスタイルであることを理解し、ライター業にどれだけ価値や意味を見いだせるかが仕事を継続できるポイントといえるしょう。
さらに、ライターとして自分が書きたい記事を書くのではなく、記事を依頼したクライアントやターゲットとする読者が何を求めているのか、それらを意識して記事が書けるように訓練していくことも大切です。
前職の看護師の収入が多いほど、ライター収入との落差に驚くこともあるでしょう、
しかし、自分が選択したライターという働き方をしようと思うのなら、地道に記事を書き続けていくしかありません。
それを継続できるのかどうかが、看護師ライターで成功するかどうかの分かれ目になると思います。