毎日同じ職場で顔をあわせる看護師同士、人間関係でうまくいかないことも多いと思います。
インターネット上のコメントを見ても、人間関係の悩みはどの病院にもつきものと言えそうです。
Twitterやってると男性の看護師がすごくたくさんいることに気づいた。どうして看護師になろうと思ったのか気になる。私は早い段階で看護師の人間関係のドロドロを見てしまったのでその道はあきらめました。
— さとし🌈 (@satoshi4918) 2019年6月6日
1番若い男の看護師さんと仲良くなれて話し合うし嬉しい。
今回の入院いまのところ人間関係は順調。あのおばさん以外。
あとは食事への恐怖心だな…
早く退院したい— ゆめち卍。入院中 (@Yume_lll2) June 7, 2019
【看護師にとっていい職場とは?】のコラムでもご紹介していますが、
すべての看護師にとっていい条件の職場なんて無いように、すべての人に好かれる人間もいないのです。
では、看護師が職場の人間関係で悩んだとき、どのような対処をしていけばよいのでしょうか。
同じように悩み、図らずともやめた経験をもつ看護師の方にお聞きしました。
この記事の内容
人間関係などで悩んだ場合に試して欲しい3つの対処法
転職するときの理由は様々でも、辞めるときの理由は人間関係…という人も多いのではないでしょうか。
かくゆう私も、人間関係で辞めたことが何度もあります。
正直、「いまの職場はすごく人間関係がいい!」というわけではありません。
影で悪口は多いし(きっと私も言われている…しらんけど)、愚痴は多いし、あの人とあの人は仲が悪いから一緒のチームにしちゃだめとかあるし、我が強い看護師もいるし…
どこにでもありそうな職場です。
何が変わったかというと、自分が変わったのです。
必要とされる看護師になり居場所を作ろう
できることが増えてきたこともそうですが、私は自分の「強み」がわかってきました。
「強み」とは、得意なことではありません。自分にできる相手にとっての「嬉しいこと」です。
たとえば、私は1年目が外来だったので、処置室担当のときはひたすら採血や点滴をしていました。
多い時には1日に50人以上。
そのため点滴や採血はいまでも得意です。頼られることも多いし、一緒に働く看護師にも頼られます。
また、本を読んだり研修会に行ったり、勉強することが嫌いではないので、いろんな知識を持っています。
「後閑さんに聞いてみよう!なんでも知ってるから!(そんなこともないんだけど)」
そう言ってくれる看護師もいます。
おっちょこちょいで抜けていることも多いし、患者さんと話をしている時間も多いから、決して仕事が早いわけでもありません。
すべてが完璧な人なんているわけがなく、お互いが「強み」を活かして、フォローしあう。
そういうことを積み上げていくことで、自然と信頼関係ができ、人間関係は良くなっていくものではないでしょうか。
人間関係や信頼関係はお互いに積み上げていくもの
人間関係が良いことは一番大事なポイントではあるのですが、人間関係は双方でつくるものです。
あなたの「強み」はなんですか?
自分にできる相手にとっての「嬉しいこと」を探してみましょう。
それをし続けることで、人間関係はよくなっていき、あなたは必要とされる看護師になります。
「これはわたしの強み」と思えるものができれば、「強み」は役割になり、役割はあなたの居場所となります。
あなたが理想とする看護師になる
尊敬できる看護師をみつけ、病院内にロールモデルを作ってみましょう。
「あの人のようになりたい!」「あんな看護師になりたい!」
そう思って、いまの自分は何が足りないのか、どうしたらあの人のようになれるのかを考えて行動していくのです。
私が新人看護師の頃、尊敬している看護師がいました。
医師からも信頼され任せられていることが多く、患者さんたちからも好かれていました。
私に優しくいろいろ教えてくれるのですが、自分をよく知っていて、得意な分野以外は「教えてー」と新人の私を頼ってくれたりもしました。
先輩風を吹かして偉ぶったり指示するばかりでなく、お互いが協力してよりよい看護をしていくという先輩でした。
私も大好きで、あんな看護師になりたいと思ったものです。
尊敬できる先輩がいないなら
「そんな尊敬できる看護師なんていない!」と思うのであれば、あなたが思う尊敬できる理想の看護師に、あなたがなればいいのです。
まずは、勤務中だけでも「理想の看護師」を演じてみましょう。
続けていくことで、今後入職してくる看護師にとって、あなたが「尊敬できる看護師」になることでしょう。
先輩にいじめられてきたから、自分も後輩にいじめをするなんて、ナンセンスです。
認められたいって思いは、誰にもあります
だからこそ、あなたが周りをまず認めてあげましょう。
心理学でいう「返報性の法則」で、人はされたことを相手にも返したくなります。
「ありがとう」と伝えると「いえ、こちらこそありがとう」と返したくなります。
あなたがまず理想とする看護師のように振る舞うことで、まわりも同じような対応をしてくれるようになります。
悪口は自分にも返ってくる…
同じように、悪口を言えば悪口を言い返されます。
実際に悪口を言っている人は、周りもその人の悪口を言っていたりしませんか?
そうでなくても悪口を言っている人は、「きっと自分もこの人に悪口を言われているんだ」と思われていて、他の人からの信頼も失っているはずです。
あなたもそうならないように、「人のふり見て我が振り直せ」です。
そんな人は気にせず、あなたの理想を目指しましょう!
上司や先輩に相談してみよう
人間関係のもつれを感じている場合、他の人も同じ悩みを抱えているかもしれません。
上司や先輩に、いま思っていることを正直に伝えてみましょう。職場の人すべてがあなたの敵、なんてことはないはずです。
一人や二人、あなたの話を聞いてくれる人もいるはずです。
なんなら私が聞きますよー。
一人で悩んでいないで、ぜひまわりに相談してみましょう!
コミュニケーションロスが一番の原因
人間関係は、多くの場合コミュニケーションロスが問題です。
ひょっとしたら、相談することでさらに人間関係の悪化につながると思われるかもしれませんが、あなた一人では解決できなくても、何かいいアドバイスが返ってくることもあるでしょう。
相談することで、一歩前にすすめることでしょう。
まとめ
人間関係などで悩んだ場合の対処法
①必要とされる看護師になり居場所を作ろう
②あなたが理想とする看護師になる
③上司や先輩に相談してみよう
後閑愛実(ごかん・めぐみ) |
正看護師。BLS及びACLSインストラクター。 看取りコミュニケーター2002年群馬パース看護短期大学卒業、2003年より看護師として病院勤務を開始する。以来1000人以上の患者と関わり、看取ってきた患者から学んだことを生かして「最期まで笑顔で生ききる生き方をサポートしたい」と2013年より看取りコミュニケーション講師として研修や講演活動を開始。現在は病院に非常勤の看護師として勤務しながら、研修、講演、執筆などを行っている。雑誌「月刊ナーシング」で連載中『まんがでわかるはじめての看取りケア』の原作執筆を担当。著書に『後悔しない死の迎え方』(ダイヤモンド社)がある。 後閑愛実WEBサイト:https://www.megumitori.com/ |
イラスト:なかもと ゆき |
多摩美術大学卒業後、フリーの作家・デザイナー・イラストレーターとして活動。
デザインフェスタはじめ様々な展示に多数出店。 2018年「月刊ナーシング」で『まんがでわかるはじめての看取りケア』の連載を開始。イラストを担当。 『後悔しない死の迎え方(後閑愛実著)』では、挿絵を担当。 現在YouTubeで「ゆき味アートチャンネル」を開設、ものつくりの楽しさを発信している。 チャンネルURL:https://www.youtube.com/ |