最近よく耳にするようになってきた【フリーランス看護師(ナース)】とは、一体どんな働き方をしている看護師でしょうか?
「雇われないで働けるのなら私もフリーランスで働いてみたい。」
そう思う看護師は多いのではないでしょうか?
でも、訪問看護ステーション以外の開業権を持たないはずの看護師・・・
一体フリーランスで働く看護師とはどういう看護師のことを言うのか、詳しくご紹介します。
この記事の内容
はじめに
一般的には、フリーランスとは、法人に属さずに個人事業主として、又は個人企業法人として仕事を請け負っている人の事を言います。
そのため現在の法律では、個人として免許の下での看護師業務を請け負って仕事をすることができません。
したがって、フリーランスとして仕事をする場合には、通常の看護師業務とは異なる仕事をする事になります。
派遣で働く看護師をフリーランスナースと呼ぶサイトもありますが、ここでは言葉の定義通り、雇用されずに自ら活動・事業を行う看護師を「フリーランスナース」と表現します。
また、雇用されていながら、フリーランスとしても働いている看護師も「フリーランスナース」の範疇とします。
フリーランスナースという謎の働き方|看護師が「フリーランス」という言葉に抱くイメージ
「フリーランスナース」という言葉はまだ実態が広まっておらず、人によって言葉から受けるイメージは様々です。
皆さんはどんなイメージを持っていますか?多くの人が抱く代表的なイメージは下記のようなものです。
特定の組織に属さず働いているイメージ
主に派遣や単発の仕事をメインに働いている看護師の事を想像される方が多いです。
派遣で働いている看護師の中には、「フリーランスで働いています!」と言う人もいますが、
派遣は派遣会社に雇用されていますので、ここではフリーランスとは呼びません。
どんな人たちか全く想像がつかない
看護師とは雇われて働くものなので、フリーで働くという事の意味が分からない。そんな人は周りにもいない。
一生懸命働いている自分たちとは対極にあるイメージ
過酷な職場で一生懸命働いている自分たちとは違い、組織を離れて楽に好きなように働いているイメージで感覚的に受け入れられない。
一芸に秀でている看護師というイメージ
看護師資格の他に素晴らしい才能を持った人が、看護師をしながら他の事でもお金を稼いでいるイメージ。自分には縁がない。
実際に私が会ったフリーランスナースの方々はこんな人たち!
そのイベントを通じて数百人のフリーランスナースやフリーランスナース希望の方と出会ってきました。
その方々はこんな方たちでした。
看護師として常勤で働いている
大きな病院、中小の病院、介護施設、訪問看護などの分野で常勤として働いている方が沢山います。
現在の仕事だけでは叶えられない看護の熱い想いを、病院の外の活動として行っていたり準備をしています。
中には、師長さん、看護部長さんもいます。
看護師として非常勤で働いている
私生活とのバランスを取りながら看護師として働きつつ、フリーランスとしても働いています。既にかなりフリーランスに移行している方々です。
派遣看護師として働いている
フリーランスナースの方には多いイメージですが、実際には多くはないです。
20代~30代ナースさんではみられますが、それより上の世代には少ない印象です。
単発で働いている
好きな仕事、頼まれる仕事があれば時々看護師として働く事がありますが、通常はフリーランスとして仕事をしています。
100%フリーランス
ご自身のフリーランスとしての仕事のみで生計を立てています。
既に看護師としては働いていません。
収入源を複数持っているパラレルワークのフリーランスナースの方もいます。
いかがですか?
皆さんがかつてお世話になった先生や上司が、フリーランスナースとして仕事をしているかもしれません。
また、一緒に働いた同期が準備を始めているかもしれません。
フリーランスナースになりたいと思っている看護師の多くは、
「同僚に理解されないと思うから職場では話せない」
と言います。
もしかしてフリーランスナースになりたい方は、あなたの身近にいるかもしれないですね。
それでは、フリーランスナースについて詳しくお伝えします。
フリーランスナースって何だろう?通常の看護師との違い
フリーランスナースはどこにいるの?
先に述べたように、実は多くのフリーランスナースは、皆さんの身近にもいます。
フリーランスといっても100%フリーランスではなく、多くは看護師とフリーランスとしての仕事を掛け持ちしています。
分野でいえば、訪問看護に多いようです。
訪問看護という看護師が起業するという事例を目の当たりにして、自身の可能性を感じるのかもしれません。
場所でいえば東京、大阪などの都市圏に多く見られ、地方では数少ない存在です。
派遣・単発看護師とフリーランスナースとはどう違うの?
派遣看護師は、派遣会社の社員として雇用されて働きます。
単発の仕事とは、看護師の場合一般的には主に「単発派遣」「単発紹介」「スポットアルバイト」の事を言っています。
これらに共通することは、会社からお給料をもらうという事です。つまり「雇用」されています。給与から経費を引くことは出来ません。
これに対し、フリーランスとは雇用されるのではなく業務を請け負って働きます。
レアなケースですが、医療行為の伴わない旅行添乗などを、個人事業として請け負った場合は、フリーランスとしての仕事にする事ができると思います。
この場合に受け取るお金は、給与ではなく「サービス提供料」ですので、フリーランスはここから通信費や打ち合わせ費用などの経費を引くことができます。
フリーランスナースはどんな仕事をしているの?
フリーランスナースは大きく分けて2種類に分けられます。
1つ目は【看護師×メディカル系】そして2つ目は【看護師×異業種系】
両方を併せ持つ多才な方もいますが、ここでは代表的なこの2つをご説明します。
看護師×メディカル系
フリーランスナースの王道ともいえるメディカル系フリーランスナース。中でも代表的なものは看護スキルを売っている看護師です。
皆さんの病院の中で、感染管理認定看護師によるコンサルやWOCナース指導を外部委託していないでしょうか?
この方々は個人としてサービスを提供している場合はフリーランスナースです。
- 介護施設のマニュアル作成
- 研修指導などを請け負っている
- 医療コーディネートサービスを売っている など
医療・介護に関する仕事は、看護師としての経験を活かしていると言えます。
この分野では、看護の現場で長く活躍した実力のある看護師がいます。
また、医療に関連し、メディカルアロマやリンパマッサージなどのスキルを付加して働いているナースも数多くいます。広義ではナースライターもこれに属すると言えます。
看護師×異業種
看護師をしながらも、看護師ではない仕事をしている方々。
- 看護師×歌手
- 看護師×カメラマン
- 看護師×ダンサー
- 看護師×クリエイター
- 看護師×モデル、etc
フリーランスナースの収入は?
フリーランスとして活動しているナースの収入は様々です。
敢えて赤字にしている方から、フリーとしての収入だけで生活している方もいます。
活動を始めた当初からしっかりした収入を得ることは中々難しいので、看護師としても働きながら、フリーランスとしても活動している方が多いのが現状です。
看護師の仕事を続けたく、敢えて2足のわらじで働く方もいます。
一方で事業として成功し、規模が大きくなり、他人を雇ったりしてフリーランスを卒業している方々も数多くいます。
収入は、個人によって全く様々ですが、売り上げが何千万単位となれば人を雇う規模でもあり、フリーランスとしてはそれ以下の規模が一般的ではないかと思われます。
フリーランスナースが増えている背景とは?
社会環境の変化
SNSの発達
SNSの発達のお陰で、無料で効果的な発信ができるようになり、個人が大きな注目を集めることが可能になりました。
今はフリーランスナース達の発信ツールとして使われています。
起業ツールの進化
青色申告個人事業主として開業することは、過去にはハードルが高い部分もありましたが、現在は会計・申告アプリの進化で、初心者でも取り組めるようになりました。
開業のための情報もインターネットで容易に取得できたり、名刺やチラシやホームページも安価に簡単に作成できることから、起業が身近になっています。
副業の寛容化
病院などでは副業禁止の所がまだあるようですが、政府が副業容認したことにより、パラレルワークで働く人たちが増えています。
その流れは看護師にも波及しており、パラレルに元気に活躍する看護師が現れてきています。
看護師側の変化
看護師の就業環境の変化
高齢化社会により、病院では医療ニーズが高まり、それにつれて看護師の負担も大きくなっています。
私生活や健康を犠牲にして働くことや、医療の現場のジレンマに悩む看護師も増えています。
個人としての活動の可能性が広がっていることから、組織を離れてフリーランスナースとなり、病院の外から社会にアプローチをすべく活動しています。
長寿時代のセカンドキャリアの必要性
人生100年時代といえど、多くの雇用は65歳までであり、それ以降の雇用は難しいものがあります。
定年以降も、それまでに得た経験や知識をどうにかして社会の中で活かしたい、という想いでフリーランスになるベテラン看護師がいます。
最後のキャリアは本当にやりたいことにチャレンジしたい、という想いを実現するための一つの形がフリーランスナースです。
訪問看護ステーション増加による看護師の意識変化
在宅医療推進により、訪問看護ステーションの会社を立ち上げ運営を経験する看護師が増えて、起業に対するハードルが低くなっています。
必然的に周りの看護師の意識にも変化を及ぼし、起業が看護師にとって身近になっています。
男性看護師の増加
フリーランス看護師には男性も多く存在しています。
その視点やバイタリティ、ポテンシャルは高く、社会に看護師がサービスを作っていく大きな力となっています。
看護師はフリーランスにチャレンジしやすい職業
一般の会社員が、正社員からパートになったり、会社を辞めてフリーランスになるという事は大きな覚悟と危険を伴います。
それは、もし失敗したら、その後に職に就けるかどうかはわからないからです。
一方で看護師はというと、派遣や単発アルバイトも豊富で仕事に困らないため、フリーランスの仕事にチャレンジしやすい職業であると言えます。
フリーランスナースになるには|向いている人や仕事の選び方
どんな人が向いている?
これをやりたい、という明確な目標のある人
フリーで仕事をすると、わからないことや難しいことも出てきます。
そのため「これをやりたい」という気持ちがないと、途中で続かなくなってしまいます。
言い換えれば、これをやりたいという自分の目標が出てきた時は、フリーランスも視野に入れても良いかもしれません。
お金をかけずにフリーランスにチャレンジすることができる時代になっていますよ。
人とつながることが好きな人
仕事を宣伝するためには人とつながる事がとても大切になってきます。
楽しみながら人脈を広げていけると、仕事が広がっていく可能性があります。
しかし、現在はオンライン発信で広告収入を得ることが可能になっていますので、必ずしも人とつながらなくても、興味を引く発信などで収入を得ることは可能です。
どんな仕事を選べばいいの?
基本的にはフリーランスの仕事のテーマは何でもありですが、看護師として得た知識や経験をうまく活かすことができれば有利である可能性が高いと思います。
その際も、自分の得意なことを活かす、やりたいことをやる、という事は大切です。看護のスキルだけでなく、自分自身を見つめなおし、楽しんでやれるものを探しましょう。
看護師はビジネスの経験がないため、どこにニーズがあるのか、どうビジネスにしていくのかを知るのが難しいです。
仕事のテーマ選びは最も重要ですので、効果的なアドバイスを受けるのも一案です。
ナースプロジェクトの「フリーランスの賢い歩き方」というイベントでは、フリーランスナースを目指すにあたっての個別アドバイスを講師から受けることができます。
フリーランスナースにはすぐになれる?
これはフリーランスナースに興味のある看護師さん達から多く寄せられる質問です。
実際、肩書をつけてフリーランスと名乗ることは、今すぐにでも可能です。
しかし、肩書を名乗ることと、収入を得ることにはかなりの開きがあります。
ブロガーやライターだとしても、そのスキルを身に付けることは必要です。
看護スキルを売るにしてもサービスを作り、それを知ってもらわなくてはなりません。
現代は色々なことができるようになり、実現速度が高くなっていますので、一概には言えませんが、今ブレイクしている方でも数年前からコツコツ努力している姿を見ています。
フリーランスナースに役立つ10の資格
フリーランスナースに興味があり、何をやろうかな・・と考えているあなたへ、私が出会ったフリーランスナースの皆さんの資格の一部をご紹介しましょう!
- 認定看護師、専門看護師:執筆、講演、セミナー、コンサルティングなどには強い味方
- カウンセリング・コーチング系資格
- キャリアコンサルタント(国家資格)
- うつ病にさせないためのアドバイザー、健康指導予防士など疾病予防に関する資格
- リンパマッサージ、産後骨盤矯正などのサロン系資格
- アロマ、メディカルアロマ、カラーセラピー
- 食育指導士。薬膳講師、フードアドバイザー等
- 認知症ケア等、高齢者関連資格
- ヨガ、自然療法、笑いヨガ、音楽療法、健康スポーツナース等
- 看取り士、エンディグノート
実際にはまだまだありますがご参考になれば嬉しいです。
「フリーランスナースの賢い歩き方」のイベントでは、さらに詳しい情報をお伝えしています。
フリーランスナースとして働くメリット・デメリット
フリーランスナースの4つのメリット
自分がやりたいことが自由にできる
深夜3時頃に仕事をしていてフリーランス仲間にメッセージを送ったら、すぐに返事が返ってくるというような事もあります。
「自由」それがフリーランスの一番の魅力です。
視野が広がる
仕事をするにあたり、色々な方と接するようになると、看護師の仕事ではわからなかった事を沢山学びます。
医療従事者以外の方とも接することで、新たなものが見えてくることもあります。
フリーランスでの経験を通して、看護師の仕事の尊さや、安定してお給料を頂くことの有難みを認識する方もいます。
さらに、フリーランスとして活躍するために身に付けている知識やスキルをまずは職場で活かすことにより、職場内でできることの視野が広がるといったケースもあります。
税金の知識が身につく
これまでは会社がすべてやっていてくれた税金ですが、フリーランスでは交通費や書籍代、セミナー参加費など、経費を計上することができ、自ら税金に取り組むことになります。
経費を計上することで税金も変わってきますので、必然的に税金関係には詳しくなってくる方が多いです。
そこから派生して、人生のマネープランを勉強したりと、学びのきっかけになります。
看護師時代より収入を得る可能性がある
看護師は以前よりWワークをして働く方が多くいましたが、Wワークの一つがフリーランスという方もいます。常勤看護師1本では上限のある年収も、やり方によっては大幅な収入アップにつながることも夢ではないでしょう。
フリーランスナースの2つのデメリット
収入が保証されない事
看護師として勤務していれば安定して賃金がもらえますが、フリーランスでは、サービスが売れなければ、どんなに働いてもお金になりません。
また、サービスが売れ続けなければ、継続して収入を得ることができません。
楽しく始めたはずのフリーランス稼業も、上手くいかずいつの間にかフェードアウトしているような方もいます。
仕事時間も長くなりがち
自分のやりたいことをしているので、仕事が遊びで、遊びが仕事のようになってしまう事も珍しくありません。
看護師として勤務していたころよりずっと働いている方々も多くいます。しかし、それでも楽しく自ら働いているのがフリーランスナースの特徴です。
フリーランスナースの実例紹介
コンサルタントナース
- 摂食・嚥下障害看護認定看護師による病院などへの外部サービス
- 専門性の高い看護サービスをスタッフに指導
コンサルタントナースになりたい方の相談も受け付けています
フリーランス認定看護師(感染管理・WOC)
- 企業と共に対象商品や使用に関する仕事を行う
- 病院や組織の対象分野に関するコンサルティング
- 医療関連記事の執筆
- 研修・セミナー講師 など
講師として全国で講座を開講する専門看護師
質の高い専門分野に関する内容に加え、わかりやすい教え方で人気を博す専門看護師。
書籍出版、動画配信なども人気でブランドを確立し、分野の第1人者として活躍中
個人や家族の医療相談係
この分野は数多くの看護師が挑戦したいと思っています。
フリーランスとして行う場合は直接医療行為を行ったりすることは出来ませんが、医療相談、受診同行、メンタルサポートなど、経験を活かしてサービスを提供しています。
活動にはブログやSNSでの発信も上手に利用されているだけでなく、リアルに人脈を築く事も積極的に行っています。
看護研究指導・論文指導
看護研究や論文執筆にしんどい思いをしている方は多いと思います。そんな方の為に、質の高い論文執筆サポートをしています。
あとがき
フリーランスナースは新しい事のように思われがちですが、個人的には皆さんがご存じのナイチンゲールは白衣の天使というより、新しい事を作り出すチャレンジャーとして見える部分があります。
その意味では、ナイチンゲールは「開拓者」なのだと考える今日この頃です。
看護は日常生活の中にあるもの。看護のプロである看護師は、社会の中で必要とされるサービスを作り出せる存在だと思っています。
フリーランスナースについて詳しく知りたい方のためのイベントは「こちら」